美.職.技 鮨
すきやばし次郎より抜粋
~私がこの世界に入った時は「料理人しかなれない」
っていう状況の人が多かったですよ。
かくいう私もそうです。
昭和の大恐慌の人減らしのために、9歳で料理旅館の奉公に出されちゃったんですから。
でもね、じゃあ、今と昔とどっちの時代に本物の料理人が育ったか、というと、私は迷わず「昔」と言います。
「この仕事を逃すとご飯が食べれない」
そういう状況で腹をくくって仕事をしてきた人は強い。
最近の若い子は我慢出来ないとすぐやめてしまいますね。電話をかけてきたと思ったら「最低〇円くれますか?」「週休2日ですか?」
といきなり聞いてくる。仕事はいくらでもあるし、仕事しなくても親が見てくれると思ってるんですかね?
「この仕事合わない」っていう若いもんもいる。
日本中いくら探しても自分に合う仕事なんか見つからないですよ。仕事に自分を合わせなくちゃ。
私たちの時代は雇い主に追い出されたら帰る場所はないから、橋の下で飢え死にするしかなかったんです。
どんなに殴られても蹴られてもぐっと我慢していた。それでいて「今に見ていろ」と、闘志を燃やしていたわけです。
貧しい時代が良かったなんていいませんよ。
でも、そうやって鍛えられた強い精神は、職人にとってなくてはならないものだと、私は思っています。
料理人とは職人で職人にとって必要なこと、それは技術です。技術が無いとどんなに心を込めても気合いを込めても無駄です。
これは理屈じゃない。
言い換えれば技術を積み重ねる事がお客様に「心を込めた」ことになる。
仕事で大きなプレッシャーがかかった場合でも、技術でしか克服する方法はないし、逆に技術さえあれば克服もできるわけですよ。
だから、修行がいるんです。~
最近、どの職種も人不足とよく聞きます。
今は雇う側より雇われる側の方が強いんです。
昔のままの考えじゃ中々難しい時代です。
「新人類」
今の時代にあった人間です。
いまではYouTuberって言うのは職業が成り立ちます。
仮想通貨で億り人。
確かに時代は変わって、新しいお金の稼ぎ方も変わってきたのかも知れません。
でも、夢を持ってお店を持ちたいという若い子が現れてくれることを願っています。